第34回神奈川県栄養改善学会で発表しました
                             2010.3.16   

口頭発表 「介護予防教室(栄養改善)参加者の食生活の現状と教室効果の評価」

 私達は平成19年度より相模原市介護予防事業の一環として、一般高齢者を対象とした介護予防教室
(栄養改善)の委託を受け、実施してきました。これまでに行ってきた介護予防教室では、
高齢者の多様な食品摂取と高次生活機能の加齢に伴う低下危険度は関連があるというエビデンスに基づき
10種類の食品群を日常的に摂取することをポイントとし、介護予防と食生活の関連をお伝えしてきました。
昨年の9月に北海道・札幌で行われた日本栄養改善学会でも、これまで教室で実施してきた
「食べ物頻度チェック(食品摂取の多様性評価票)」から、参加者の食生活状況を中心に解析した内容を
発表させていただきました。今回はさらに蓄積したデータを集計し、口頭発表させていただきました。
昨年9月の日本栄養改善学会の様子はこちら  



私達の発表の他にも高齢者の栄養ケアとして、特定高齢者の栄養改善事業やデイケアでの
栄養改善事例を発表されているところもあり、大変勉強になりました。
やはりどこの発表でも他職種協働の必要性が挙げられ、今後の課題とされていました。
一般高齢者を対象とした「介護予防教室(栄養改善)」は、転倒予防、認知症予防、口腔機能向上等の
総合コースの1回であったり、「栄養改善」1回限りの教室であったりと1回限りの介入となるので、
他の介護予防サービスや地域包括支援センターとの協力により、繰り返し「栄養改善と介護予防」の視点を
伝えていくいくことが重要だと発表させていただきました。




****************************** 発 表 要 旨 **************************

 

介護予防教室(栄養改善)参加者の食生活の現状と介入効果の評価

○坂崎千郷 安達美佐 寺澤康子 秋葉香織 松尾美穂子

栄養サポートネットワーク合同会社

<要旨> 

【はじめに】

 筆者らは平成197月から神奈川県相模原市の委託を受け、65歳以上の一般高齢者を対象とした介護予防教室(栄養改善)を実施している。この教室では高次生活機能の低下速度の予測が可能な熊谷修らの「食品摂取の多様性得点評価票(以下評価票とする)」を用いて、参加者の10食品群摂取状況を把握し、介護予防の視点から多様性得点アップを図ることを主眼としている。多様性得点は10食品群毎に「ほとんど毎日食べる」を1点、そうでない場合は 0点とした合計点で算出し、多様性得点が高い群ほど高次機能の低下危険度(要介護リスク)が低くなる。

【目的】

「評価票」により、参加者の多様性得点の状況と各食品群の摂取状況を把握し、教室実施の効果を 検討する。

【方法】

平成1921年度に実施した介護予防教室の参加者(男性70名、女性211名、計281名)に対し実施した「評価票」の結果(1)から食生活の現状を把握した。また、参加者のうち同意の得られた者に教室終了半年後、同様の「評価票」を実施し(2)、回答が得られた者について効果の評価を行った。また同時に教室参加後に印象に残ったこと、役に 立ったこと等への自由記載を求めた。多様性得点アップのための内容は@多様性得点を高める意義についての情報提供、A「ほぼ毎日食べる」ことができていない食品群を毎日食べる工夫(活用法、メニュー等)の話し合い、B「ほぼ毎日食べる」ことができていない食品群を利用した試食(含レシピ提供)である。なお、効果の評価については、現段階で男性の回答者が少ないため、本報告では女性に限った。

【結果】

食品摂取の多様性得点の第1回平均点は男性で5.5点(010点)、女性で6.4点(010点)であった。10食品の中で「ほぼ毎日食べる」割合が低かった食品群は、男性で「芋類」29%、「肉類」36%、 「海草類」44%、女性では「芋類」41%、「肉類」44%であった。老研式活動能力指標の得点低下の相対危険度に関する多様性得点区分「03点」、「48点」、「910点」の割合は男性で17%76%7%、女性で9%73%18%であった。半年後の「評価票」に回答した女性は57名であった。食品摂取の多様性得点の第2回平均点は5.8点(010点)であった。老研式活動能力指標の得点低下の相対危険度に関する多様性得点区分「03点」、「48点」、「910点」の割合は、女性で18%67%16%であった。「ほぼ毎日食べる」割合に改善が見られたのは「芋類」(133%→第242%)、「卵類」(140%→第246%)であった。なお、評価対象者の74%に自由記載があり、86%に食品の多様摂取に対する意識・行動変容があったことが 記載されていた。

【考察】

男性の多様性得点「03点」の割合が女性より高かったことから、男性への働きかけは「ほぼ毎日 食べる」ことができない環境の検討を加え、より工夫した内容が求められる。「芋類」、「卵類」で多様性得点が改善したことについて、「芋類」では多様な食品摂取の意義を知り、さらに教室内での話し合いで話題に上ることが多かったことが関連していたと考えられた。また、どの教室でも生活習慣予防の観点から「卵類」を食べないという発言があったが、介護予防を考慮すると食べた方がよい食品であるという認識が高まり、「卵類」の改善につながったと思われた。自由記載からは意識・行動変容の記載が多数見られたが、食品摂取の多様性得点の平均点と老研式活動能力指標の得点低下の相対危険度に関する多様性得点区分には大きな改善はみられなかった。この点において、意識変容、行動変容を確実なものにし、実施効果を高めるためには、終了後も地域包括支援センター、口腔機能向上コース、他関連事業でも得点を高める継続的な支援が必要であることが示唆された。

*発表抄録のご請求、詳細等については下記メールよりご連絡ください。


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